Clocking(クロッキング)について / dCS

コマンドとコントロール

当社のカスタム・クロッキング・アーキテクチャーは、すべてのdCSシステムが正確で安定したリファレンス・ソースに同期することを保証し、デジタル・オーディオ信号が時間領域で正確かつ確実に伝送され、再生時に耳にする信号に歪みを引き起こすリスクを取り除きます。dCS製品の心臓部であるクロック信号を生成するデュアル水晶発振器から生成された通りに信号を供給する低ノイズで時間のずれや歪のないクロック分配システムに至るまで、dCSのクロック技術は、クロックの全ての点において最大限の精度、一貫性、信頼性を実現するために慎重に設計されています。オーディオ・エレクトロニクスでは、クロッキングという用語は、電源、高速信号処理、変調を含むさまざまなデジタル回路を、メイン・オーディオ・クロックと同期させ、正確に同時に動作させるために使用されるシステムを指します。

すべてのデジタル・コンポーネントには、メイン・クロック・ソースが必要です。クロックは、コンポーネントが、入力で受け取ったオーディオ・サンプルを使って何かをするタイミングを理解するための内部基準システムなのです。

例えばDACの場合、その中心的な役割のひとつは、デジタル・オーディオ・サンプルをアナログ信号に変換し、スピーカーやヘッドホンを駆動する電圧に変換することです。このプロセスのタイミングは、私たちが聴くオーディオが元の音楽演奏を正確に表現するために極めて重要です。もしオーディオサンプルがDACによって正確なタイミングで変換されなければ、私たちは人工的に歪んだ音を聴くことになってしまいます。

サンプルを正確なタイミングで変換するためには、DACは特定の時間刻みを定義し、測定出来なければならなりません。これは、クロック回路が正確で安定した基準ソースと関連している場合にのみ達成出来るのです。正確で信頼性の高いリファレンス・ソースを持つことは、システムのタイミングの不規則性や逸脱によって引き起こされるジッターの抑制にも役立ちます。

dCSでは、クロッキング・システムが最高の安定性と信頼性を提供出来るよう、細心の注意を払っています。電源の同期から高速信号処理、変調に至るまで、dCSの内部処理はすべてメイン・オーディオ・クロックと同期しており、どのようにお聴きになる場合でも、一貫した動作と絶対的な精度を実現しています。

dCS マスタークロック

複数のユニットを使用するオーディオ・システムでは、外部クロックを使用することで、DACからストリーマー、CDトランスポートに至るまで、システム内のすべてのコンポーネントが同期して動作していることを確認することが出来ます。dCSは、デジタル・オーディオにおける外部マスター・クロックのパイオニアであり、独自のPLL(Phase Locked Loop)システムにより、世界最高水準の精度とジッター・コントロールを実現しています。

dCSシステムのDACはマスター・クロックとして動作するように設定できますが、リスニング・テストによると、専用クロックに代わるものはありません。マスタークロックを外付けすることで、クロックの繊細な回路をシステム内の他の回路から分離し、クロック信号がクロストーク(電磁波の漏れ)や物理的な動き(ディスクの回転など)、電源干渉(複数の回路に同じ電源部から電源を供給した場合に発生する可能性がある)の影響を受けないようにすることが出来ます。マスター・クロックを導入することで、ディテールやイメージングからリズムの動きや流れに至るまで、サウンドのあらゆる側面が強化されます。

クロッキングの分野におけるdCSの先駆的な革新は、dCSシステムで音楽が自然で立体的に感じられ、音楽の複雑さに関係なく、落ち着きと純粋さを維持するごく自然なパフォーマンスを提供することなのです。

ジッターを理解するため

ジッターとは、オーディオ・システムのクロックが正しいタイミング基準信号を生成出来なかったり、基準信号がDACに正しく届かなかったりした場合に発生する影響と定義されます。

ジッターとは、DACの入力で受信されるサンプルのタイミングが不規則になることです。このプロセスのタイミングはクロック信号によってコントロールされるため、サンプルが正しいタイミングで変換されることを保証する最終的な責任は、システム内のクロックにあります。

ジッターは様々な要因によって引き起こされます。劣悪なアナログ設計、電磁干渉、質の悪いデジタルオーディオケーブル、その他様々な原因が考えられます。

ジッターには大きく分けて、固有ジッターとインターフェースジッターの2種類があります。固有ジッターとは、DACのような製品の内部で発生するジッターのことで、位相ノイズなどの影響により、クロック信号を生成するために使用される発振器に影響を与えます。インターフェイス・ジッターとは、デジタル・オーディオ信号やクロック信号を転送するために使用されるインターフェイスによってもたらされるジッターを指します。(エーブルや端子を含みます)

ジッターはオーディオにおいて非常に望ましくないものです。ジッターの実際の聴感上の影響は、その性質によって異なります。ジッターが周期的であれば、信号周波数の両側にサイドバンドが現れます。これは、オーディオに人工的な成分が加わっているような、ひどい歪みのように聴こえます。

ジッターの性質が雑音成分的な場合、信号エネルギーの「不鮮明化」が生じます。これは、システムのノイズフロアを増加させ、音楽の細かいディテールを覆い被してしまいます。

人間の耳と脳は、音のタイミングの不規則性に非常に敏感です。DACがジッターに見舞われ、信号を正しいタイミングでアナログ電圧に変換できない場合、演奏時の空間を感じるキーとなるタイミングが変化してしまうので、演奏の空間感覚が大きく歪んだり、失われたりすることさえ起こります。

しかし、これらの変換が正確なタイミングで、適切な録音品質で行われれば、リスナーはオーディオ・システムが事実上消失したような演奏を楽しむことができ、楽器や演奏者の正確な位置を特定できる、正に生き生きとした立体的な演奏が目の前に現れます。

デジタル・オーディオにおいて、正確なクロッキングの重要性を見くびってはいけません。だからこそdCSは、クロック・システムの性能を磨き上げ、設計のあらゆる面でジッターを最小限に抑えることに執念を燃やしているのです。この細部へのこだわりと妥協のないアプローチが、私たちのシステムが正確で自然、そして深い音楽性を感じさせるパフォーマンスを提供できる理由のひとつです。

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