Precision Monitor 4 / Avalon Acoustics

Precision Monitor 4

Precision Monitor(プレシジョンモニター)シリーズのトップモデル、Precision Monitor 4は、自然な音色と空間的な表現力を高精度でリスナーにお届けするように設計されたリファレンスモニタースピーカーです。

微細なローレベルの解像度を高め、音楽の演奏現場を可能な限り再現するために、トランジェントの正確さ、広く余裕のあるダイナミックコントラストを達成することが、PM4の開発に当たり重要な課題でした。誇張された表現や音源には含まれていない音の副産物などを生じさせずに、全ての波形パラメタ-を正確に追い求め、本当の意味での高精度モニターを製造することがAvalonの使命です。

それはまさに、音楽再生の神髄であり、透明度が高いクリアーな窓から見透すような音楽情景表現が、PM4の純粋さ、素直さの証明となりました。PMシリーズは音楽演奏を視覚的に捉え、空間的ディテールの描写によって正確無比なサウンドステージを提供し、リスナーを包み込みます。

周波数特性と位相特性は、「SAGA」やフラッグシップ機「テッセラクト=Tesseract」から受け継いだノウハウによって、高精度なパフォーマンスを誇ります。今後展開される計4機種のPMはフロアスタンディングスピーカーで、モニター品質のリファレンス・トランスデューサーなのです。

PMの全てのモデルは、Avalon独自の位相整合性を実現したトポロジーとハイカレント能力を備えたクロスオーバーネットワークで構成され、これはSAGAから受け継ぎました。空間的な精密表現性と三次元的なパノラミックな音場再現は、元よりAvalonが得意とするところで、折り紙付きです。それに加えて、音の強弱の解像度に優れ、ミクロ的なダイナミックコントラストを正確に追求できるスピーカーとなりました。

各モデルのキャビネット仕上げは、スピーカーが設置された環境の色と照明とに調和し、自然と使用環境にマッチするメイプル天然ウッドのグラファイトフィニッシュが標準となり、ハイグロスラッカーもオプションで応じることができます。

Precision Monitor 4の特徴

  • ドライバーユニットの先進的な軽量振動板は、エネルギーの貯蔵(Energy storage)と時間軸歪みを最小限に抑えます。
  • ドライバーユニットは一本一本が厳しく検査され、スピーカー全体として最適なパフォーマンスが得られるようにマッチングされています。
  • スムーズで広いポーラーレスポンス(極反応)を誇り、優れたステレオイメージを再構築します。
  • 例外的とも言えるほどのフラットなインピーダンス特性と低い内部抵抗値を保ちつつ、ハイスピードかつ高解像度のアンプと組み合わせることにより、最高度のパフォーマンスが期待できます。
  • クロスオーバー回路は撚り線導体のみによる立体配線のため、プリント回路基板の有害な抵抗値や振動を排除できています。
  • Avalon独自のクロスオーバートポロジーによって、0~-76dBにおいて、たった5度の位相偏差を全てのドライバーで達成
  • 全ての磁場の相互干渉に対して、慎重にクロスオーバー回路を構成/配置しました。
  • アヴァロン独自の技術によって、エネルギー伝達量を高め、ノイズフロアレベルを低く抑えています。
  • 共振に強いキャビネット構造
  • 細心の注意を払った2π-4πバッフルデザインによる立体的なサウンドステージング
  • 純粋なピストン運動を行うドライバーは76dBの信号以内において、ダイアフラム自体からブレークアップ共振モードを排除しています。
  • 音響的に無共振の波形発生を行います。

設計者からのメッセージ

プレシジョンモニター PMシリーズの設計目標はいたってシンプルです。Avalonのフラッグシップスピーカー、Tesseractの設計過程で培った多くの技術を、可能な限り実用的なサイズのリファレンスモニターに応用しました。

独自の低ノイズと時間軸位相整合を達成したクロスオーバーネットワーク技術により、源音楽情景、即ち、オリジナルの録音を、正確に三次元的な再生を目的として、ドライバーユニット全てのパフォーマンスと放射パターンなどが決定されます。

立ち上がり、ブレーキングという音楽再生にとって大切な要素であるトランジェントスピード、きめ細かい音の粒立ちと陰影を表現し、音楽に生命感を与えるダイナミクスが最も重要な点です。

広くかつ深いサウンドステージ、焦点がピシッと合った音像の表現──マクロとミクロの両面──でダイナミックコントラストを提示します。

さまざまな音色と空間情報のそれぞれを、最高度の精度で再現することを開発テーマとしたフルレンジリファレンスモニターが、PM4です。ローレベルの精密なディテール表現、高い解像度、トランジェントの精度の高さ、そして今までにないような広大なダイナミックコントラストという要素が、PMシリーズの設計目標でした。誇張や有害な付帯音などを一切加えず、すべての波形を正確にトレースすることが、PM 4の特徴です。いわば、録音された音楽の核心部分へと迫る、透明な音楽を観る窓とも例えることが出来ます。

PM4キャビネット構造は、密閉された個室のような内部キャビネットと複数の音響迷路の組み合わせによるユニークな設計となりました。 Avalonには30年を超えるスピーカー造りの経験が蓄積されています。共振を除去する方法に加え、いっぽうで音楽の核心に迫るために共振を有効的に使うノウハウをベースに、新たに開発されたPM4のキャビネットは、多層拘束減衰(※1)を活かした構造をメインバッフルに使用し、固有モードの制御を慎重に調整した空洞共振を構造設計に応用しました。原理的には、1枚では、叩けばカンカンと鳴ってしまう板を、2枚重ねると鳴きはぐんと小さくなります。なぜなら、2枚の板が合わさることでその隙間によって、振動エネルギーを熱エネルギーに変えることで制御されます。

※1 拘束層減衰は、振動を抑制するための機械工学技術です。 典型的には、粘弾性材料または他の減衰材料は、それ自体では十分な減衰をすることがない2枚の硬い材料のシートの間に挟まれているため、拘束材料の両側で発生した振動は、粘弾性層または中間層で捕捉され消散します。 また、2枚の板の間に物性の異なる板を挟む(サンドイッチ構造)とすれば、より制振できます。さらにサンドイッチ構造では、曲げ剛性が飛躍的に高くなり、ウーファーのコーンでは、カーボンスキンなどコーンの2枚の板の間に発泡材を挟んだ、ロハセル構造が増えています。

単純な例えですが、キャビネットは非常にうまく微調整されたバイオリンやギターのように機能し、音の伝播においては共振を許さず、同時に時間軸位相が整った倍音が加わります。

設計目的に適合するために、特別に開発、調整されたドライバーを使用しました。 システム全体では純粋なピストンモーションを達成しました。即ち、-70dB以内には、ドライバーのブレークアップモード(※2)は存在しません。 非常に堅いノメックス / ケブラー製の複合ウーファーダイアフラムは、アヴァロン独自の二重マグネット構造の磁気回路で駆動されます。エネルギーの貯蔵は最小限に抑えられ、入力信号を抵抗なく音響的に放出するのです。結果として音楽情報は一切圧縮されずに、ダイナミックコントラストが明瞭に再現できました。 中域ドライバーの振動板は、アヴァロンのユニークなダイナミックマグネット構造によって駆動される、とても薄く、軽量なセラミックで形成されています。トゥイーターのネオジムマグネットはダイヤモンド振動板に活力を与えます。たわみやゆがみが一切なく、完全に位相整合された音楽信号が50k Hzを超えてまで放射されます。

※2 低域領域では、コーンは分割振動することなく均一に振動します。 これが「ピストン」動作領域です。 より高い周波数では、コーンはたわみ始め、共振、共鳴につながります。 これが「ブレークアップ」です。これらの共振は固定周波数にあるので、入力信号と調和的に関連していません。

物理的要素と駆動要素を統合する鍵は、クロスオーバーネットワークにあります。 前述のように、これらの独自の高電流回路はテッセラクトスピーカーの開発過程で得た技術をそのまま応用しました。ドライバー間の絶対位相リニアリティーと極めて低いノイズフロアは動的な要求に関係なく維持され、最も要求の厳しいプログラム素材でもサウンドイメージが安定し、漆黒と表現される静謐さを背景として、ステージがリスナーの眼前に浮かび上がります。

Specifications

ドライバーユニット
2.5cm 逆ドーム型ダイアモンドダイヤフラムトゥイーター
9cm セラミックドームミッドレンジドライバー
28cm ノーメックス・ケブラー 複合コーンウーファー x2
エンクロージュア
ポート・フロアー型
能率
89dB
インピーダンス
周波数帯域
20Hz~50kHz
推奨アンプ出力
25~400W
ターミナル
バインディングポスト(シングル)
キャビネット(突き板)
天然メイプル
カラー
ナチュラル
グラファイト
仕上げ
スタンダード
ハイグロス(オプション)
寸法
W300 x H1250 x D430mm
重量
79kg

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