Time / Avalon Acoustics

Timeの開発理念

近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエは神はディテールに宿るという信念のもとに細部に注意を払いました。優れた音楽演奏や録音も、再生やオーディオ機器についてもまた、デル・ローエと同じことがいえます。

Avalon Acousticsのスピーカーは、ディテールの表現と音楽の持つ本来の力を再現したいという情熱によって設計、製作されています。

すべての開発は感動からはじまる、というのがこのプロジェクトのチーフデザイナーであるニール・パテルの哲学です。細部を克明にあらわすことによって、音楽情景の全体像を聴き手の前に立体的な感触で浮かび上がらせえるスピーカーをお届けしたい、Avalonはそう考えています。

Timeの開発理念

Time(タイム)は音楽表現においてスピーカーの新基準を作り上げたIsisの設置条件に柔軟性を持たせる、という目的で開発されました。豊かであざやかな音色、非常に幅広いダイナミックコントラストが正確無比に焦点を結び、録音情景の空間さえも聴き手の前に再現してくれるのです。

Avalonのスピーカーメーカーとしての挑戦は「空」なるスピーカーという、禅の教義に喩えられるスピーカーを理想とします。水がさまざまな形の容器にしなやかに納まっていくように、どんな音楽にも対応し、柔軟に、演奏情景を伝えるスピーカー、それこそが理想であるわけです。

Timeの開発理念

ドライバーユニット、クロスオーバーパーツ、キャビネット、ケーブル類、は全てAvalonの設計によるものです。Isisが既にあるとはいえ、Avalonの理想をもとめるには、Isis設計と同様、「空」という理念のもとにうまれたスピーカーがTimeです。

新クロスオーバーネットワークはTimeのためだけに設計しています。トポロジー(位相幾何的な回路)も、ノイズを低く抑えており、大量のトランジェント電流の変動に対する磁界ひずみを生じることなく対応します。

Timeの開発理念

内部配線用ケーブル類は超高純度ロングクリスタル銅材を使用、Avalon独自の技術でワインドされたものです。

TimeはIsisと同様1インチダイアモンドトゥイーターによって高域をよどみなく再現します。使い慣れたセラミックミッドレンジドライバーに加えて二重磁力構造という協力型のノメックス・ケブラーによる28cmウーファードライバーを2機使用することで、音に厚みを加えています。この方法はIsisのデザイン手法をふまえたものです。

Timeの開発理念

キャビネットはウーファー能力に合わせて内部ボリウムを十分に取り、なおかつスピードのあるドライバーモーションを保証します。

パワーレスポンス、増幅度反応、位相反応、過渡特性を精度高く、細やかさを追い求め、極めてナチュラルな音色、音質を得ることができました。

Avalonの音を決める最高責任者ニール・パテルは最初に音楽の構成だけを集中的に聴きます。音楽の構成とは音そのものから独立しているものです。かんたんな例を挙げてみましょう。聞き慣れた部屋でクラシックギター一本による音楽が演奏されます。

個人的な嗜好がどうであれ、この音には客観的に一貫した多くの特質があります。私たちは指が弦をはじき、アタックがナイロンのように、またはナイロンを巻いたスティールのように、しかしエレキギターの弦とはまた違った音色で鳴ることを知っています。

Timeの開発理念

私たちは弦の音がギターの箱鳴りよりも速く出てくることも知っています。また、ギター本体の実際の大きさを知っています。その部屋の共振はギターそのものの共振に続くと云うことも知っています。共振は室内で均等に、規則的に消えていき、しばしばギターの音が演奏会場の壁からはね返ってくることも知っています。誰でもこのことを聞き取れます

ではなぜ私たちはこの一連の動きを正確に再生しないトランスデューサーやシステムを受け入れるのでしょうか。このこたえの非常に重要な点の一つは「時間に注意を払う」ということです。もしも時間に厳しい耳をもって聴いていれば、音楽の構成はトランスデューサーの中で正確に作られていることに気づきます。ここから、カラーとかダイナミックスといった問題が比較的簡単に分かってきます。ニールはTimeを長期にわたり聴き込みました。

Timeの開発理念

最終判断にはクロスオーバーの洗練度とのコンビネーションで一日に18時間以上も聴いたそうです。

録音された音楽の違いが一番分かるアコースティック楽器の演奏を聞き込みました。室内楽、オペラ、クワィアー、大編成のオーケストラ、ジャズアンサンブル、フォーク等です。

電気によって増幅されたジャズ、ロックはそれとはまた別の点や興味深いパースペクティブを提供しますが、オペラなどから比べればこの点を正しく得ることは易しいのです。

ソースはアナログ、デジタルの両方を使用し、市販のCDディスク、マスターテープ、デジタルマスターなどです。さらにはニール・パテルやAvalon独自の録音も使われます。非常に複雑に入り組んだものもあれば、水が流れているという単純なものもあります。

最後に、マイクを実際に通したテストを行います。これは非常に有効なテストの一つです。マイク二本がスピーカーとは別の部屋に置かれ、そこでピアノを演奏するとリアルタイムでその音がシステムに入ってきます。

記録というプロセスがないために音楽構造によってはトランスデューサーの持っている能力がかくせずに路程するのです。ここまでくれば、最後にはスピーカー自身を「空」にして、その存在を音楽に捧げることが重要であり、必要なのです。

偉大なオーディオ機器は、聴き手が音に身を添して聴けるものです。可能な限りの透明度を伴って演奏を再現できること、これが偉大さの真のテストである、とニール・パテルは考えています。

Avalonは、はっきりと目的を理解して、到達するまでは、あらゆる努力を行って理想を具現化するメーカなのです。

Specifications

ドライバーユニット
2.5cm ダイアモンド振動板トゥイーター
9cm セラミックドームミッドレンジ
28cm ノメックス、ケブラーコンポジットコーンウーファー(ダブル磁気回路)
エンクロージュア
ポート・フロアー型
能率
89 dB
インピーダンス
4Ω(ノミナル)
周波数帯域
24Hz~50kHz(+/-1.5dB,無響室反応)
推奨アンプ出力
50~600W
寸法
W300×H1170×D480mm
重量
75kg

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