2

Precision Monitor 1.2 / Avalon Acoustics

Precision Monitor 1.2

「Music is the passion in our blood and the muse of our intellect」

音楽とは、私たちの血に流れる熱情であり、知性の女神である。

音楽演奏を三次元で楽しむ。心に奥深く浸みわたる音楽を、いまここに蘇らせ、爽やかな風となるような、深く、軽やかで、しかも重厚な演奏を聴きたい。それには、ローレベルの精密なディテール表現、高い解像度、トランジェント精度の高さ、そして今までにないような広大なダイナミックコントラストという要素を備えるスピーカー要求されます。これが、Precision Monitor 1.2(プレシジョンモニター 1.2 ※以下 PM1.2)の設計目標でした。

Avalonのフラッグシップスピーカー、Tesseractの設計過程で培った多くの技術を、可能な限り現実的サイズのリファレンスモニター、Precision Monitorシリーズに応用しました。

独自の低ノイズと時間軸位相整合を達成したクロスオーバーネットワーク技術を応用し、源音楽情景を三次元的に精度高く再生するためには、使用するドライバーユニット全てのパフォーマンスと放射パターンを決定します。 重要なポイントは、立ち上がり、ブレーキングという音楽再生にとって大切な要素であるトランジェントスピード、きめ細かい音の粒立ちと陰影を表現し、音楽に生命感を与えるダイナミクスです。

PM1.2は、広くかつ深いサウンドステージ、焦点がピシッと合った音像の表現──マクロとミクロの両面──でダイナミックコントラストを提示します。  誇張や有害な付帯音などを一切加えず、すべての波形を正確にトレースすることが、PM1.2の特徴で、録音された音楽の核心部分へと迫る、透明な「音楽を立体的に観る窓」とも例えることが出来ます。

PM1.2のキャビネット

PM1.2のキャビネットは、密閉された個室のようなトゥイーターチェンバーと複数の音響迷路の組み合わせによるユニークな構造となりました。 Avalonには30年を超えるスピーカー造りの経験が蓄積されています。共振を除去する方法に加え、いっぽうで音楽の核心に迫るために共振を有効的に使うノウハウをベースに、新たに開発されたPM1のキャビネットは、多層拘束減衰(※1)を活かした構造をメインバッフルに使用し、固有モードの制御を慎重に調整した空洞共振を構造設計に応用しました。原理的には、1枚では、叩けばカンカンと鳴ってしまう板を、2枚重ねると鳴きはぐんと小さくなります。なぜなら、2枚の板が合わさることでその隙間によって、振動エネルギーを熱エネルギーに変えることで制御されます。単純な例えですが、キャビネットは非常にうまく微調整されたバイオリンやギターのように機能し、音の伝播においては共振を許さず、同時に時間軸位相が整った倍音が加わります。

※1 拘束層減衰は、振動を抑制するための機械工学技術です。 典型的には、粘弾性材料または他の減衰材料は、それ自体では十分な減衰をすることがない2枚の硬い材料のシートの間に挟まれているため、拘束材料の両側で発生した振動は、粘弾性層または中間層で捕捉され消散します。 また、2枚の板の間に物性の異なる板を挟む(サンドイッチ構造)とすれば、より制振できます。さらにサンドイッチ構造では、曲げ剛性が飛躍的に高くなり、ウーファーのコーンでは、カーボンスキンなどコーンの2枚の板の間に発泡材を挟んだ、ロハセル構造が増えています。

PM1.2の製品化に当たり、宇宙航空機産業やレーシングカーデザイナーによって開発されたまったく新しいポリマー素材を使用しました。堅さと耐共振性 に優れた新素材を、アヴァロンのキャビネット製造技術と組み合わせて理想的なエンクロージュアができました。また、設計目的に適合するために、特別に開発、調整されたドライバーを使用することによって、システム全体では純粋なピストンモーションを達成しました。即ち、-70dB以内には、ドライバーのブレークアップモード* が存在しません。 非常に堅いノメックス / ケブラー製の複合ウーファーダイアフラムは、アヴァロン独自の二重マグネット構造の磁気回路で駆動されます。そのため、エネルギーの貯蔵、ロスは最小限に抑えられ、入力信号のすべてを抵抗なく音響的に放出するのです。結果として音楽情報は一切圧縮されずに、ダイナミックコントラストが明瞭に再現できました。トゥイーターのネオジムマグネットはトゥイーター振動板に活力を与えます。たわみやゆがみが一切なく、完全に位相整合された音楽信号が20k Hzを超えてまで放射されます。

物理的要素と駆動要素を統合する鍵はクロスオーバーネットワークにあります。この独自の高電流回路は、テッセラクトスピーカーの開発過程で習得した技術をそのまま応用しました。プリント基板を使用せず、完全にマッチングした高精度の部品を立体配線によって構築しました。ドライバー間の絶対位相リニアリティーと極めて低いノイズフロアは動的な要求に関係なく維持されます。最も要求の厳しいプログラム素材でもサウンドイメージが安定し、漆黒と表現される静謐さを背景として、ステージがリスナーの眼前に浮かび上がります。

インピーダンス負荷に対しては、アンプに影響を及ぼさない設計で、低出力の真空管アンプやソリッドステートアンプを使用しても、しっかりとした音楽再生を行います。 再生帯域幅と位相特性はこのクラスでは例外的に優れています。サウンドステージの安定性と楽器の位置関係は、レコーディング現場での演奏を高精度で表現します。演奏会場のローレベルディテールはオリジナルの録音に忠実に、高い精度をもって、リスナーに伝えることができます。ゆったりと音楽を楽しみたい時でも、再生音から細大漏らさず聴き取ろうという意気込みをもって音楽に臨む時でも、PM1.2はリスナーの期待に応えてくれることでしょう。

※2 低域領域では、コーンは分割振動することなく均一に振動します。 これが「ピストン」動作領域です。 より高い周波数では、コーンはたわみ始め、共振、共鳴につながります。 これが「ブレークアップ」です。これらの共振は固定周波数にあるので、入力信号と調和的に関連していません。

Specifications

ドライバーユニット
2.5cm 高エネルギー、位相整合トゥイーター
18cm ファイバーグラス 複合コーンウーファー x2
エンクロージュア
ポート・フロアー型
能率
94dB
インピーダンス
周波数帯域
28Hz~25kHz
推奨アンプ出力
15~200W
ターミナル
バインディングポスト(シングル)
カラー
ナチュラル
グラファイト
仕上げ
BIRDSEYE MAPLE(スタンダード)
寸法
W250 x H940 x D330mm
重量
24.5kg

Back to Top