QRDについて / QRD

QRDについて

QRD設置Room

建築音響

QRD 音響パネルは、建築音響学へ画期的なアプローチを追求しています。これまでの音響材が音の吸収に注目していたのに対し、QRDは拡散・吸音・反射という三つの基本的な設計要素をバランスよく組み合わせ、最も効果的なアコースティカルデザインを提供いたします。

吸音・反射・拡散の比較

図のように吸収効果のある平面は、直接音を弱めて一定方向に反射し、反射効果のある平面はほとんど音を弱めずに入射音を一定方向に反射させます。そして拡散効果のある平面は、斜めに入射する音であっても広範囲に同時に音を拡散します。

1983年にRPG社はリフレクション・フェーズ・グレーティング(RPG)を初めて製品化いたしました。これはくもりガラスが光を吸収ではなく拡散させる原理と同様に、音を吸収するのではなく、すべての角度から入射する音を均質に様々な方向へと拡散させるもので、建築音響にとって画期的なものとなりました。RPGはコンピューターによって設計された等幅かつ深さの異なる溝(1D)あるいは格子(2D)の周期的なモジュールです。これらの溝、格子は薄い仕切りで分けられています。この深さは整数理論(Quadratic residue number theory sequence)に基づいているので、RPGはQRDと呼ばれています。QRDの発表以降、RPG社は音響関連の新製品を次々と生み出し、業界のイノベーターとしての地位を確実なものにしてきました。今日のRPG社の製品は、拡散、吸収、その他多岐にわたっており、またノイズコントロールだけでなく音の芸術的な美しさを追求する音響拡散パネルです。

1D 拡散(1次元方式のディフューザー)
1D Diffusion これは1次元のみに深さのバリエーションがある形態で、様々な深さの溝または段で構成されています。すべての角度の入射音は、半円状の様々な角度に均質に拡散されます。高周波のカットオフは溝の幅に規定され、低周波のカットオフは最も深い溝に規定されます。1次元ディフューザーは特定の方向に拡散させたいときに有効です。
2D Diffusion(2次元方式のディフューザー)
2D Diffusion これは垂直2方向について深さのバリエーションがある形態で、様々な深さのセルまたは段の格子になっています。すべての角度の入射音は、半球状の様々な角度に均質に拡散されます。高周波のカットオフはセルの幅に規定され、低周波のカットオフは最も深いセルに規定されます。2次元ディフューザーは全ての方向に拡散させたいときに有効です。

ホームシアター

吸音効果のある平面は、直接音を弱めて一定方向に反射し、反射効果のある平面はほとんど音を弱めずに入射音を一定方向に反射させます。そして拡散効果のある平面は、斜めに入射する音であっても広範囲に同時に音を拡散します。伝統的なホームシアター製品はこのうち吸収と反射に焦点を当てていました。これらは確かに重要な要素ですが、最も効果的なホームシアターのアコースティカル・デザインは、吸収、反射、拡散のすべてを最適なバランスで用いることによってはじめて可能となります。QRDの包括的なシネミュージック・ホームシアター・アコースティカルシステムは、既存の平面を利用し、下限は40Hzまでという広い周波数域を吸収しつつ、重要なサラウンドサウンドを拡散します。

今日のミュージック及びホームシアター製品の主流は、新しい5.1独立デジタル再生フォーマットです。「5」とは、右、左、中央の3つのフロントスピーカーと、左後方、右後方の2つのサラウンドスピーカーを意味し、「.1」とはサブウーファーを意味します。わが社のオリジナルのRFZ/RPGスタジオデザイン原則も、この新しいフォーマットへと移行していくでしょう。現在、ダイポールとモノポールの2種類のサラウンドスピーカーフォーマットがあります。またRPGのルーム・オプティマイザー・ソフトウェアは両フォーマットのクイック・セットアップ・ウィザードを提供しています。

sround system

THXフォーマットでは、サラウンドスピーカーは、リスナーの左右の横の壁に位置します。この設置方法は、モノポールサラウンドが横の壁や後ろの壁にいくつか位置される映画館の経験を模倣したものです。

マッチングサラウンド

1994年にスイスのジュネーブで開催された国際テレコミュニケーション連合(ITU)は、映像を伴う、及び伴わないマルチチャンネルサウンドシステムに関するBS775‐1勧告を公布しました。これによると、すべてのスピーカーがリスナーから等距離に、リスナーを中心とした円上に配置されます。左右のフロントスピーカーはリスナーの正面からそれぞれ30度ずつ離れた場所(左右フロントスピーカー間の距離角度は60度)、左右のサラウンドスピーカーは、正面よりそれぞれ110度づつ離れた場所(互いの距離角度は140度)、と規定されています。

ホームシアター用のアコースティックツール

ホームシアター用のアコースティックツール

応用ステップ

実際にQRDを使用して理想的なリスニングルームに仕上げる応用ステップ編です。

※掲載されております参考例に現在生産されていないものも含みます。

QRD使用例

QRD製品

  1. Diffusor(ディフューザー)
  2. Diffractal(ディフラクタル)
  3. Abffusor(アブフューザー)
  4. Skyline(スカイライン)
  5. Flutter Free(フラッターフリー)※製造完了品
  6. QRD Base(QRDベース)※製造完了品

1st step

1st

まずはスピーカーの後方(リスナーの正面)に「Diffusor」または「Diffractal」を、さらにご予算やお部屋の特性に応じてその両端に「Abffusor」を設置します。これによって前壁面からのフラッターを取り除き、快適な拡散面を作ります。これで定位、ステージ感が大きく改善されます。サウンドステージが目の前に見えだしました。「QRD Base」を用いて、高さ180cmまで持ち上げて使用するとさらに効果的です。

2nd step

2nd

第二段階では側面からの一次反射を防ぎます。これには「Abffusor」が効果的です。鏡を側面に置き、リスナーのポジションからスピーカーユニットが映るところが一次反射面といえます。この一次反射面に「Abffusor」を設置しスピーカーからの一次反射が効果的に処理することができます。これでさらに定位がピシッと決まりスピーカーやアンプなど、機器の特質が鮮明に現れてきます。「QRD Base」を使用しAbffusorを持ち上げることにより高位置の壁面部をカバーすることができます。

3rd step

3rd

第三段階は後壁面の処理です。ここに「DIffusor」または「Diffractal」を設置することにより、リスナーの後方に音のエネルギーが残り、しかも有害な反射がない状態となりますので、心地よい部屋ができあがります。話し声も適度な響きと素直さを兼ね備え、とても気持ちよい響きで、会話も思わず弾んできます。※リスナーと後壁面の距離が短い場合(1m位)の場合は「Abffusor」のほうが効果的な場合もございます。ここでも「QRD Base」を使用して高位置の壁面部をカバーするとより効果的です。

4th step

4th

第四段階は天井の処理です。今まで、天井からの一次反射は意外にも軽視されてきました。天井面の一次反射を拡散する「Skyline」または「Omniffusor」を使用してください。半球状に拡散することで、上からの反射はなくなり音はさらに自然さを伴います。特にフローリングのリスニングルームでは天井からの一次反射を押さえることによって、本来の素直で自然なサウンドがよみがえるのです。これでほぼ理想的な音響空間に仕上がって参りました。

Final step

Final

最後はリスナー後方壁面の処理です。フラッターエコーの処理に最適なFlutter Freeを使用すればリスニングルームの完成度は大きく高まります。(取付・設置には施工工事を要します。)これでもう立派なスタジオやミキシングルームにも負けない環境が完成いたしました。リスナーの感性とQRD製品の特徴に基づいた使用法のこつさえわかれば、あとはいろいろ組み合わせを試し最高のリスニングルームを仕上げることができるのです。

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