Olympus Server XDMI / Taiko Audio

現代音楽再生の新たな視点

TAIKO AudioのOlympus Server XDMI(オリンパスサーバー XDMI )は、4年近くにわたる研究開発の集大成です。音楽への情熱を持ったIT/技術の研究者として、私は常に、より良い音楽再生体験、即ち──サウンドステージ、原音に限りなく近い音色、演奏のディテールなど──、音楽信号が含有する全ての要素を聴き手の前に提供できるオーディオ機器を最新技術の活用によって産み出す、という可能性に興味を抱き、かねてからそのような機器を創りたいと考えていました。その成果として、5年前に革命的とさえ言えるExtreme Server(エクストリームサーバー )を開発し、そのライフサイクルの中で着実に改良を重ね、最先端IT技術を取り入れてきました。現在では、他社の新サーバー・リリースの猛攻にも負けず、Extreme Serverは確固たる地位を築いていると自負しています。

今日、Olympus Server XDMIという新しいサーバーモデルを発表出来ることは大きな喜びです。Olympus の位置付けはExtreme Serverの上位となります。Olympus Server XDMIは、Taikoスタッフが聴いたサーバーと較べても、全く異なる音楽体験をリスナーにお届けします。サウンドステージ、ダイナミクス、ごく自然で多彩な音色などですが、従来のオーディオファイル的な言い回しではOlympusの音質を十分に語れません。デジタル、アナログという範疇を離れて、レコーディング・エンジニアが意図した(あるいは再生記録としては意図もしなかった)音楽パフォーマンスをありのままに表現出来る、アーティストの音楽表現に最も近づいている音楽再生サーバーがOlympus Server XDMIである、とTAIKOは断言出来ます。

Olympus Server XDMI開発において、Extreme Serverを可能な限り最新の状態に保つことにも全力を注ぎました。Olympus I/O XDMIと呼ばれるふたつ目の製品を発表します。Olympus I/O XDMIは、オリンパスのテクノロジーの大部分を搭載したExtremeの外付けアップグレード製品です。I/Oを追加することで、ExtremeはOlympus の性能レベルとまったく同一とは言えないまでも、Olympus にとても近い性能を発揮することができます。Olympus I/O XDMIは、Olympus本体に追加してさらに性能を高めることも出来ます(ただし、ExtremeにOlympus I/O XDMIを追加した時ほどの劇的な性能向上は期待出来ませんが……)。これは、英語の慣用句で "Cherry on the top=完璧な仕上がり "と言うようなものです。

Olympus Server XDMIには先進的な技術革新が数多くあり、そのすべてを文章で説明することはとても困難なことなのです。

ソフトウェアが音質を決定する重要な要素である

Olympus Server XDMIは、BPS(バッテリー・パワー・サプライ)と新しいインターフェイスXDMI(エクストリーム・ダイレクト・ミュージック・インターフェイス)の実用的な実装が新しい形で装備されます。以前はTACDA/TACDDとして発表されましたが、開発段階にあるXDMS(Extreme Direct Music Server)ソフトウェア・プロジェクトと類似しているため、今回、XDMIと改名しました。

ここでの究極の目標は、デジタル信号の処理によって生じるデジタルノイズを除去することです。そのためには、ソフトウェアとハードウェアの戦略的な組み合わせが必要です。この2つは皆様が想像している以上に絡み合っています。XDMIプロジェクトのソフトウェアとオリンパス・ファームウェアの開発は、ハードウェア部分の設計よりもさらに大きな労力を要し、全設計時間の約65%ほどを占めました。したがってプロジェクトのコストにおける最大の要因になったと思います。BMS(バッテリー・マネジメント・システム)もファームウェアによって実行され、iOS/Android アプリストアでダウンロードし、それによる現状チェックとリモート・コントロールができます。

オーディオファイルとして、私たちは大きな筐体にお金を払うことに抵抗はありませんが、ソフトウェアはほとんど目に見えません。皆さまが目にするのは、すでにお持ちのリモート・デバイス上のインターフェースや設定アプリだけで、重さは0㎏です。物理的には何もないのですが、ミュージック・サーバーにとってはパフォーマンスの最重要部分なのです。最終的にはハードウェアがパフォーマンスの上限を決定するのですが、私たちはソフトウェアもハードウェアと同様、否、それ以上に重要だと主張したいのです。

美しく過剰に設計された輝くばかりのハードウェアでも、不適切に駆動されたときには、酷いパフォーマンスを発揮するだけだからです。その上、実際のコードによる音の影響は大きく、ハードウェアのアップグレードと競合する可能性があります。その言葉を疑う人のために、11/22/23にリリースしたOSアップデートに関するフォーラムでは、多くのお客様からの肯定的なフィードバックをいただいております。また、現在私たちのXDMS再生ソフトウェアのコード変更を行っており、名称も"NSM "と変更する予定です。(2024年夏現在、開発途上です)

ソフトウェアの開発はたいへんなのです

ソフトウェアにどれだけの努力が実際に費やされているかをご理解いただけると思うので、ここで数字を上げてみたいと思います。アルファ/ベータ版リリースのサポートに費やした時間を除けば、TAS/XDMS/XDMI/BMSのファームウェアとソフトウェア・コーディングに費やした時間は優に30.000時間の大台を超えました。これは非常識な数字でしょうが、ご理解いただきたいのは、コーディングの大半は、実は音が悪い(!)という理由で却下されているということです。コーディングの効率は、時間が経つにつれて、何がよく聞こえ、何が悪く聞こえるかをより理解できるようになり、コーディングの効率は向上していきますので、その一部は学習的プロセスだと考えることもできますし、実際のハードウェアの改善にもつながっていきます。ですから、完全に無駄な時間ではないのですが、それでも、かなりの労力であることは確かです。

新製品のリリースに話を戻しましょう。私たちは当初、Extreme Server全体に電力を供給する「大型」BPS(バッテリーパワーサプライ)を開発しました。これは、4時間の再充電によってバッテリー電源を20時間使用できるように設計されており、リモートアプリを使って、例えば、午前4時から8時の間に再充電するようにユーザー自身で設定することが可能なバッテリー電源です。その "問題点 "は、Extreme Serverとほぼ同じ容積となったため、別筐体に収めなければなりませんでした。パフォーマンスにとって重要な低インピーダンスを維持するために、低インピーダンスのコネクターと巨大な1AWG(!)の接続ケーブルも必要でしたが、さらに、単純なヒューズによってインピーダンスを上げ過ぎると、バッテリー駆動の機器でしばしば遭遇する「濁った/遅い」低音やダイナミクスが圧縮されるため、安全な条件下でのみ電力を供給する頭脳が必要です。そこで、このバッテリー電源ソリューションの潜在的な利点を最大限に活用するために、新しいレギュレーター(DC-DC電源)を設計する必要が生じました。

開発時期とパンデミック

この設計が完成したとき、私たちはパンデミックの余波で世界的な部品不足の時期にあり、多くの部品の納期が1年以上に伸びていたため、発売することができませんでした。インテルのイーサネット・チップが到着するのに1年以上かかったのを覚えていらっしゃいますか。幸いなことに、その後状況はかなり改善されましたが、まだコロナ以前の状態には完全に戻っていません。いっぽう、この遅れは、BPSを検証するのに十分な時間を与えてくれました。そして実際、個々の周辺機器に個別に電力を供給することで、非常に大きなメリットが得られることが解ったのです。これらの周辺機器の消費電力はサーバー全体よりもはるかに少ないため、私たちTAIKOは「ミニ」BPSの設計を開始しました。バッテリー・セルの数を30個から6個に減らすことで、以前開発した「大型」BPSと比較してサイズが物理的に「小型」になるだけなので、「小型」という表現は間違っていたかもしれませんが、それでも伝統的なリニア電源よりもかなり大型の電源です。

Extreme Serverをバッテリー駆動するのは非現実的でした。

Extreme Serverのシャーシは、これらの新しいバッテリー電源2個、または「古い」大型BPS1個を取り付けるために改造することができますが、この改造には、シャーシの部品、底板、リアプレート、左側ヒートシンク、およびシャーシ内部のいくつかの部品を交換する必要があります。その上、この種のバッテリー電源にはかなり厳しい安全上の要件があります。ユーザーによるアップデートは難しく、完全に分解して再組み立てし、認証を受けた上で返送する必要が生じます。試算すると、Extreme Serverを下取りに出して新しいOlympus Server XDMIに買い換える金額よりも高くなってしまいます。TAIKO AudioがOlympus Server XDMIを新製品として完成させた主な理由のひとつがこのことです。事実上、これは新しい「シングルボックスBPSエクストリーム」です。また、Olympus Server XDMIは奥行きが1インチ(2.5cm)増えているため、内蔵バッテリーを2個ではなく3個搭載することができます。これがお手元のExtreme Serverを分解して、アップグレードするよりも実際的な解決策なのです。

アナログ出力オプションなど

XDMIプロジェクトの一環として、私たちTAIKOはXDMIインターフェース全体をDAC内に搭載できるインターフェース・カードを開発し、既存のインターフェース・オプションの欠点を解消しました。既存の "PCIeエクスパンダー "のような欠点がなく、リモートエンクロージャーにあらゆるPCIeカードをマウントできるように変更することができました。 PCIeエクスパンダーは通常、性能に大きな影響を与えるため、この目的には使えません。

これにより、ペリフェラル・カードを単純に外部筐体に移動するオプションが可能になりました。ここに、Olympus I/O XDMI(オリンパス・ I/O XDMI)が誕生したのです。このI/Oには2つのバッテリー電源が搭載されており、ネットワークカードとUSBカード、またはXDMIカードに個別に給電することができます。この方法によって、Extreme ServerはOlympusにとても近い音楽サーバーとなりますが、別筐体なので、より多くのラックスペースは必要になりますが。

XDMIの概要

XDMIはモジュール式のシステムで、4つの主要部分から構成されています。
1,ソフトウェア
2,システムコアを格納するベースボード
3,DACまたはプリアンプへのインターフェースを提供するドーターボード
4,トランスペアレントQFSP(光ファイバーを接続する光トランシーバーのひとつ、4つのSPモジュールをまとめたもの)インターコネクト システムにより、ベースボードとドーターボードを外部シャーシに設置することが可能

これら4つはTAIKO独自の新設計で、今まででも入手不可能でした。

  • Olympus Server XDMIには、このシステムの最初の3つの部分が含まれています。
  • Olympus I/O XDMIは、このシステムの4つのパーツすべてを含みます
  • I/Oユニットは、QSFPリンクを介して接続されるサーバーの拡張機能です。
  • I/Oユニットは、通常、入力側(ネットワーク)と出力側(USBまたはXDMIカード)の2つのモジュールをサポートしています。
  • Olympus I/O XDMIは、XDMIをサーバーからシャーシに移動するだけでなく、ネットワークカードもシャーシに移動します。(つまり、ネットワーク信号は最初にオリンパスI/Oに接続され、その後、QSFPによってエクストリームサーバーまたはオリンパスサーバーに接続されます)したがって、4.で説明したインターコネクトシステムのうち2つを使用することになります。
このインターコネクトシステムは3つの部分で構成されています
1. QFSP出力を提供するPCIeインターフェース・カード
2. QFSPケーブル
3. QFSP入力とPCIeスロットを備えたレシーバーカードで、これはXDMIベースボード、ネットワークカード、あるいはUSBカードをも接続することができます

機能的にはPCIeエクステンダーに似ているように思えるかもしれませんが、それは設計を正当化するものではありません。というのも、既存のシステムはPCIeのパフォーマンスを悪化させるのに対し、私たちTAIKOのソリューションは、サーバー内のマザーボードに直接取り付けられているPCIeスロットの上であってもPCIeのパフォーマンスを向上させるからです。

XDMIの使用について

  • XDMIおよびデジタル/アナログ出力ボードは、Olympus Server XDMIおよびOlympus I/O XDMIでのみ使用可能です。
  • 標準のExtreme Serverは、TAIKOのUSBカードを介してUSB出力を提供しますが、XDMIには適合できません。

バッテリー電源 (BPS)

  • Olympus Server XDMIには、3つのバッテリー電源と2つのリニア電源が搭載されています。
  • Olympus I/O XDMIには、バッテリー電源2個とリニア電源1個が搭載されています
  • バッテリー電源は、Olympusの性能レベルによって構成が異なります。

Battery Management System

Olympus Server XDMIは、高品質バッテリーで駆動いたします。

Olympus Server XDMIのご使用にあたり、バッテリー消耗防止の為、Battery Management System(バッテリー・マネージメント・システム)アプリ(iOS / Android)をダウンロード / ご利用が必須となります。

バッテリー・マネージメント・システム アプリ取扱説明書

コンポーネントと新技術の概略

1)Olympus Server XDMIは、利用可能な最新のコンピュータハードウェアを使用しています。AMD Epyc第4世代プロセッサーを1基搭載し、4x8個のCPUコアで合計32個のCPUコア(64個の仮想CPUコア)、128Gb DDR5-4800メモリー、PCIe gen5インターフェース、MCIO(PCIe)gen5 U.2/U.3ミュージック・ストレージ・ドライブを使用し、Windows 11で動いています。

2)TAIKOは新しい電源技術を開発しました。どちらもバッテリー駆動のリニア電源で、電力変換効率が高く(90%以上)、ノイズが非常に少なく、透明性が高くなりました。最新のGaN(窒化ガリウム)FET技術を独自の方法によって利用することで、この性能が可能になりました。

3)また、高速(集合体として112Gbs)QFSP28ケーブルを利用した新しい外部インターフェイス・ソリューションを開発しました。一言で言えば、これによりPCIeカードを外部シャーシに配置することができ、そのようなソリューションの通常の欠点はなく、性能は向上します。

4)最後になりましたが、新しいXDMI音楽インターフェースを開発しました。XDMIは入力としてASIOドライバーを搭載しており、RoonまたはXDMS再生ソフトウェアからの出力として直接使用することができます。このASIOドライバーは、オーディオ・ビットストリームをPCIe経由でXDMIベースボードに直接転送し、そこでI2Sに変換します。これは現在技術によっての直接的変換に可能な限り近づいたものとなりました。最後に、XDMIベースボードには、オプションの出力ボードを接続できるコネクターがあり、DACによる直接アナログ出力、またはさまざまなデジタル出力を生成することができます。

Specification

ストレージ(標準)
3.84TB そのままバッテリー駆動が可能です。
Extremeからアップグレードした場合、既存のストレージはOlympusに移動することができ、また、後から拡張することもできます。
データの移動や移行も可能です。より多くのストレージが必要な場合は、追加コストとして見積もる必要があります。
Olympusには事実上、ストレージ容量の制限はありません。実際にデータセンター・グレードのMCIO/Oculink U.2/U.3ドライブを利用することができます。これらのドライブは1台で30TB、あるいは60TBにもなります。また、エクストリームのハイパーカードで使用されているのと同じタイプのストレージを使用することもでき、両方を同時に使用することも可能です。
出力モジュール(標準装備)
アナログ出力(RCA)ポート x 1系統
USBポート(3.1タイプA)x 1
LANイーサネットポート(SFP)x 1
出力モジュール(オプション)
S/PDIF
AES/EBUボード
アナログ出力
最大出力電圧20 V 出力電流:50 mA
出力インピーダンス
100Ω 接続 - オリンパス・サーバー
Power Requirement
1x OLYMPUSのACパワー入力
1x Olympus I/O のACパワー入力
消費電力
Olympus XDMI: 500mA(DAC/アナログ出力装備) デジタル出力のものはそれ以下。
>入力コネクター
C15
チャージ
充電プロセスはカスタマイズ可能です。しかし、充電電流を5Aに設定した場合、1時間の充電でXDMIを10時間使用できます。
サイズ
Olympus Server XDMI:480mm(W)×480mm(D)×190mm(H)
Olympus I/O XDMI:480mm(W)×480mm(D)×105mm(H)
重量
Olympus Server XDMI:60kg
Olympus I/O XDMI:25kg
カラー
シルバー/ ブラック
付属品
ACパワーケーブル
高級ジュラルミンケース