ケーブルのブレークイン / Cardas Audio

ケーブルのブレークインは様々な要因により必要であり、また様々な理由によってその結果は異なります。 新しいケーブルを電圧計で計測すると、一定の電圧を読み取ることができます。 それは、良い絶縁体がおそまつなコンダクタになるためです。 乾燥した日に猫の毛をこすったときのように、帯電がおこるのです。

ケーブルの帯電を平準化するにはしばらく時間が必要です。 よいケーブルほどブレイクインに時間がかかります。 テフロンチューブ設計など最上の「空気絶縁」技術により、大きな非導電性の表面は乾燥した日の猫のように帯電するのです。

楽器やマイクのケーブルなど、落ち着かせる時間がないケーブルには、ゴムやカーボン・コットンなど導電性の絶縁体を用います。 これによりマイクロフォニック効果による雑音は減り、落ち着かせるのに必要な時間も減少しますが、一方でこれらの絶縁体の効果は小さく、音質的にはハイエンドケーブルに適していません。 大いなる見識と努力によって、すぐれた絶縁体によって、帯電を減少させ平準化した、信号を完璧に伝達するハイエンドケーブルを開発することができました。

オーディオ機器に必要な高いインプットインピーダンスにより、均一でない絶縁帯電が問題となります。 落ち着かせる時間を長時間とる理由の一つは、機械的ストレスと機械的緊張の相互関係と帯電がリンクしているからです。 ケーブルの物理学的構成は、帯電によって微妙に変化し、また逆も同様です。 これは猫が電気を帯びるのと似ています。猫の物理学的構成は帯電によって変化します。「縮れ」、帯電によって猫の毛は逆立ちます。 ケーブルとその絶縁体の「テフロン・キャット」は、帯電を放出し物理的に恒常性に戻るまで、時間がかかるのです。

質の良い絶縁体による絶縁ほど、落ち着かせる時間が長く必要です。 帯電は単にケーブルを動かすだけで起こり(圧電効果と単純な摩擦)、製造工程の高電圧テスト等でも起こります。 一定の帯電を有するケーブルは、測定するとよりマイクロフォニックであり、インピーダンスシステムにおける構造的リターンロスと同じような現象が、帯電の不均一さによって引き起こされます。

私はこれらの問題を解決する過程において、ブレークインタイムを削減し、ケーブルのサウンドを改善しました。 オーディオクエストのビル・ロウもこの問題に対し同様の対策を講じています。 機械的ストレスは数多くのブレークイン現象の根源であり、ケーブルのみに適用されるものではありません。

ハイエンドオーディオショウの視聴室をセッティングする場合も、ブレイクインのために2日前からセッティングを行います。 通常、初日のサウンドは悪くストレスフルなものですが、最終日にはサウンドは素晴らしくなります。 スピーカーケーブルやスピーカーキャビネット(そして部屋の壁までも)における機械的圧力は、システムが最も良いサウンドが出せるようになじませるのです。 このような現象は楽器にも言えることです。楽器は演奏されるにしたがって良い音が出るようになります。

多くのミュージシャンは楽器をステレオの前に置いて、ウォームアップさせます。 特に新しいギターには効果的です。 ピアノはストレスと緊張という観点からは大変なのです。 気温や湿度の変化など、あらゆる変化によって音質は劣化するからです。 精密に調整されたステレオシステムも同様です。 完全に帯電を取り除くことはありえません。常にゼロに近づける努力をするのみです。

いくらかの帯電はつねに残ります。 十分に落ちつかせたケーブルでは、帯電はわずかで、ミリボルトの単位です。 ケーブル内の摩擦電気雑音はストレスと残留帯電量の作用です。 良いケーブルならこれらを時間と使用することによって放出できます。 これにどのくらいの時間と使用が必要かはケーブルのデザイン、材質、製造工程におけるコンダクタの扱われ方によります。

こうした問題を解決するために、たくさんの小技や方法があります。 何年も前に、私はテフロンチューブ「空気絶縁体」設計を採用し、チューブ表面の帯電の問題に取り組みました。 絶縁体の表面にごくわずかに伝導性を加える液体を開発しました。これによりケーブルはエネルギー損失が減少し、ケーブルの音質も根本的に改善されました。 1980年代半ばに、ケーブルを帯電防止布で拭くと効果的であるということが明らかにされました。 テフロンにこだわることは、非常にチャレンジングな試みでした。

われわれは今日、ケーブルすべてに帯電防止液を用い、最終的なカバーリング剤にも帯電防止剤を含ませております。 こうした帯電への注意は、ブレークインタイムを削減し、ケーブルの音質を大幅に高めることができたのです。 これは、ケーブルにおける帯電全般の削減と、コンダクタジャケットの表面に広がった帯電の平準化によるものです。 些細な要素が積み重なって相乗効果を起こすことがあります。 経年によって、ひとつの要素がほかの要素による悪影響を低下させるのです。 ケーブルの絶縁に、時間と使用によって減少するような高い帯電、不均一な帯電がある場合、ケーブル内の摩擦電気とそのほかのノイズも同様に時間と使用によって削減されます。 これがブレークインのエッセンスなのです。

注意

ケーブルを動かすと、ケーブルに病理的ショックをあたえてしまいます。 その程度はケーブルの材質、設計と傷の度合いによります。 ケーブル内に極めて低いレベルの信号を流しておくとそのショックの影響を軽減することに役立ちます。

ショウなど時間が限られている場合には、システムの電源を切らないで下さい。 周波数スゥイープノイズや、バーンイン・レコードなどの消磁材(degaussing sweeps)も役に立つでしょう。 少量のエネルギーはケーブルの蓄積された機械的ストレスに残ります。 ケーブルがなじむにしたがい、検電器と同様、ある程度の帯電の放出されます。これが電気機械的関係なのです。 ケーブルのブレークインに関わる多くの要素が、その特定ケーブルの音質に見ることができます。

絶縁材をよく見ると、同様の状況を発見できます。 絶縁材は、帯電しその放出要素が硬さとリンクしている場合、微妙に変化します。 これらの変化はケーブルにおける一定量の帯電の証拠ともいえます。 袋から出したばかりの新しいケーブルは、のばしたとき一定量を帯電しています。 それは4〜500ミルボルト程度にのぼりますが、ケーブルがそのまま放置されると100ミリボルト以下になります。 さらに数日間使用すると10ミリボルト程度にまで下がりますが、その後ゼロに近づくことはありません。

このような一定の帯電は、ローレベルのフロントエンド機器をプリアンプの高インピーダンスインプットに結線した時に顕著になります。 ケーブルにおける、機械的、電気的なストレスと緊張反応の相互作用による変化はケーブルの共振と同様、ブレークインと関連する要素とみることができます。 多くの変化はひとまとまりになって、摩擦電気ノイズと呼ばれる一般的なカテゴリーになります。 ノイズはケーブルにおいて、ケーブルがつなぐ機器間のバリエーションの機能として生じます。 ケーブルが曲げられたり動かされたり帯電したり変化が加えられた場合、再びなじむまでしばらく時間がかかります。

ケーブルの対称な設計はここでは大きな要因です。 製造工程で慎重に設計、製造されるということも重要です。 また材質の入念な選定、対称設計によって、信号に対して非常に正直な設計はこのような要素によって大幅に改善されるのです。 機械的、電気的、ストレスー緊張の変数の基本的なルールは、大きさや媒体に関わらず真実です。 ケーブル、猫、ピアノ、部屋、すべては最高のパフォーマンスのためにはなじませることが必要なのです。 そのためには、物理的状態、環境状態に注意を向けること、それを利用すること、さらにシステムを消磁することが必要です。

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