PREAMP II-S/ Nagra
PREAMP II-S
Nagra New Family「The Series II」誕生!
Nagra Preamp S-IIの開発に際して、技術的見解、歴史的背景、Nagraの設計思想をご理解いただきたくご案内いたします。
その多くは製品の外見からはおわかり難いかもしれませんが、製品の性能にとって極めて重要な要素です。すべてのNagra製品は熟考に熟考を重ねた決断の結晶なのです。その中には、回路トポロジー、機械的構造、電源構成、アース処理、人間工学、あるいは操作感に関することなどが含まれます。最終的な選択、決断は偶然によるものではありません。それら全てが統合されて製品の個性を形作っているのです。
Preamp II-Sを、単なる新しいプリアンプとしてではなく、Nagraの新しいファミリー「The Series II」の第一弾としてご理解いただければ幸いです。
卓越した録音の伝統
1951年にステファン・クデルスキーが設立したNagraは、プロ用ポータブル録音に革命をもたらしました。当時、高品質な録音は主にスタジオに限られ、録音レコーダーは机くらいの大きさでした。今とは全く異なる環境下、Nagraのレコーダーによって、世界中どこでも、演奏や会話、イベントをこれまでにない精度で収録できるようになったのです。
Nagra III、IV-L、そしてとりわけ伝説的なNagra IV-Sは、放送、音楽録音、映画制作の分野において業界標準になりました。その信頼性、速度、精度、そして極めて低いノイズは、ロケーション録音のあり方を根本から変え、数え切れないほどの制作現場で、何世代にもわたってサウンドエンジニア(録音技師)を支えてきました。
Nagraの機器は、小型レコーダー「Nagra SN」を通じてアポロ計画をはじめとする科学・航空宇宙ミッションにも活用されました。ナグラの映画界への貢献は高く評価され、アカデミー賞®やエミー賞®を複数回受賞という栄誉に与かりました。プロフェッショナルとしての伝統と誇りは、現在もなお、Nagraのあらゆるオーディオ製品の基盤となっています。Nagraの目標は、当初から変わることなく、出来事を可能な限り忠実に記録し、保存し、再生することにあります。
録音から再生へ
1998年にNagraがプリアンプPL-Pを発売した際、Nagraはプロフェッショナル分野での矜持を捨てることなく、それをホームオーディオにも活かしました。静粛性、精度、信頼性、そして直感的な操作性に対するこだわりこそが、Nagraハイエンド電子機器の基盤となっています。Preamp II-Sは、この哲学を受け継ぎつつ、Classic、HD、Referenceといった各シリーズの開発を通じて得られたあらゆる知見を活かして、完成されました。
Series IIが生まれた理由
Classic Preampの生産を10年近く続けてきた後、NagraはあえてClassic MkIIを"作らない"ことを選びました。その代わりに、こう自問しました。「HDやReferenceプロジェクトから得たすべての知見を活かし、今、PL-Pの精神をデザインするとしたら、それはどのような製品になるだろうか?」
その答えが「The Series II」です。これはHDとClassicの間に位置づけられた新しいシリーズであり、単に小型化されたReferenceでも、Classicの後継機でもありません。Nagraのエンジニアリングを独自に表現したシリーズが、The Series IIです。
開発における優先順位
Nagraのすべての製品は、以下の優先順位に従って開発されています。
- 音楽の真実を最大限に表現する
- 長期的な信頼性
- 機械的な堅牢性
- 操作の簡便さ
- 時代を超えたデザイン(外観は決して設計を左右するものではなく、設計こそが外観を形作るものである。)
目に見えないエンジニアリング
Preamp II-Sの性能の多くは、外観からは判断できません。PCBレイアウト、グラウンディング方式、デジタル制御部の光絶縁、コネクタの選定、熱特性、パワーディストリビューション、そして機械的剛性などです。
これらは、個々に見れば些細なものに思えるかもしれませんが、それらが総合されて、最終的には、性能を決定づけるのです。
設計原則としての静寂性
絶対的静寂性は、常にナグラの主要な目標の一つでした。プロフェッショナル・レコーディングの世界では機材の存在感は消え去り、演奏そのものだけが残らなければなりません。
Preamp II-Sも哲学も同様です。Preamp II-Sの極めて低いノイズフロアにより、ホールの残響、楽器の余韻、空間情報が自然に浮かび上がります。測定値が重要となるのは、それがより説得力のある音楽体験に寄与する場合に限られます。
なぜ真空管なのか?
Nagraが真空管を採用しているのは、特定の「真空管サウンド」を生み出すためではなく、正しく実装されれば、並外れたリニアリティーと自然な高調波特性が得られるからです。真空管の選定は、その一要素に過ぎません。動作点、電源の安定性、振動制御、そして周辺部品も同様に重要な要素となります。
機械工学
機械設計は、オーディオ回路の不可欠な要素です。「Reference Turntable」などReferenceシリーズから得られた知見は、Preamp II-Sの開発に直接活かされました。
剛性の高いアルミニウム製シャーシと、フェノール樹脂製のダンピング層を用いた拘束層構造(接着および機械的固定の両方による)により、共振や真空管のマイクロフォニック効果を低減し、音像の安定性と明瞭さを高めています。
電源構成
電源回路とオーディオ回路を分離することで、マグネティックフィールド、トランスの振動、熱による影響を低減すると同時に、内部レイアウトデザインは、よりすっきりとなりました。
電源部を持たないPreamp II-Sは、Compact PSU/オプション(またはClassic PSU)と組み合わせて使用します。接続コネクターにはNagra製品で長年採用されてきたプロ仕様LEMOコネクターが採用されています。Compact PSUは2 Aという十分な電流を供給し、Preamp II-Sはその性能を最大限に発揮できるのです。
ゲインに関する考え方
現代のデジタルソースは、多くの場合、パワーアンプを直接駆動するのに十分な出力電圧を供給します。
Preamp II-Sは、不必要なゲインを加えてから再び減衰させるのではなく、ほとんどのシステムにおいて0 dBのゲインで動作し、9オームという極めて低い出力インピーダンスを維持しています。また、現代のソース機器の実情も考慮して、必要に応じて+6 dBの設定も可能です。
モジュロメーター™復活

現在は、多くのメーカーなら、アナログメーターをディスプレイに置き換えることでしょう。しかし、Nagraはあえてそうしないことを選びました。モジュロメーター(Modulometer™)は、信号レベルを視覚化する上で、依然として最も高速かつ直感的な手段の一つです。さらに重要なのは、このメーターはNagraがプロフェッショナルとしての伝統を受け継ぐ象徴であるということです。
単なるノスタルジーではなく、機能性を重視したこのメーターは、Preamp II-SをNagra75年にわたるレコーディングの歴史と結びつけているのです。
スイスの精密さ
Preamp II-Sのあらゆる操作感には、細心の配慮が払われています。ロータリーノブの操作感、各クリック位置の精度、Modulometer™の動き、アルミニウム部品の加工精度、そして各スイッチの心地よさ、こうした細部へのこだわりこそが、何十年にもわたるリスニング体験において、リスナーを満足させ続けるのです。
フロントパネル

フロントパネル large image
フロントパネルにはLCDスクリーンを登載、入力についてはユーザーがメニューからネーミングすることが可能です。
フロントパネルの「0−12dB」スイッチによって、出力ゲインを様々な出力を備えた機器と適合できるように変換することができます。
リアパネル

リアパネル large image
リアパネルには、XLR入力端子x1系統とRCA入力端子x4系統が配備されており様々なオーディオソースに対応いたします。
XLR入力/出力トランス(メーカーオプション)
メーカーオプションにてXLR入力トランス付きモデル、およびXLR出力トランス付きモデルをご用意いたしました。出力トランスを装備することによりXLR出力端子はバランス出力となります。
Specifications
- 入力インピーダンス
- 31 KΩ (メニューのバランス設定:L=R)
- 出力インピーダンス
- 18 Ω (ゲイン選択スイッチ@+6 dB)
- 9 Ω (ゲイン選択スイッチ@0 dB)
- 周波数帯域
- 10 Hz – 50 kHz (+0 / -0.5 dB)
- ダイナミックレンジ
- >125 dB (ゲイン選択スイッチ@+6 dB)
- 最大入力レベル(0dB出力時)
- >1 V rms (Gain at 0 dB)
- クロストーク
- > 85 dB (@1kHz、1Vms out,no load)
- 混変調歪 (THD+N)
- <0.01% (1KHz無負荷)
- 使用真空管(Nagra社選別)
- 2x 12AX7 / ECC83
- 1x 12AT7 / ECC81
- 入力
- XLR x 1系統(入力トランス付きはオプション)
- RCA x 4系統
- 出力
- XLR x 1系統(出力トランス付きはオプション)
- XLR x 1系統
- RCA x 1系統
- 寸法
- W280xH76xD380mm
- 重量(本体)
- 4.9kg
- 消費電力
- 12.6 W / ON
- <1 W / Standby
- 付属品
- リモートコントロール
- オプション
- 入力トランス付き
- 出力トランス付き
- CLASSIC VFS
- COMPACT PSU ※
- CLASSIC PSU ※
※ PREAMP II-Sには電源部が内蔵されておりません。ご使用にはオプションの外部電源、COMPACT PSU、またはCLASSIC PSUが必要になります。





