HD DAC X / Nagra
究極のDAコンバーターをめざして
Nagra HD DACを強化した進化形
暖かさ、質感、広いダイナミックレンジ、拡大された周波数帯域
HD DAC Xは実際の演奏に限りなく近づいた再生音を奏でるDAC。音質の特徴は、温かく、色彩感豊かで、細部までをも表現する広いダイナミックレンジ、拡大された周波数特性である。独特の主張で、音楽イベントの再現を可能にした
洗練度の高いパワーサプライは、超高速シリコンカーバイド(SiC)整流ダイオード、超低歪電圧レギュレーター、HD preampのパワーサプライの3倍の容量を持つスーパーキャップを搭載し、仮想バッテリー電源とも表現できる。各ステージへの電力供給は個別に超ローノイズパワーサプライ37個を配した。
HD DAC X は、AES-EBU, S/P-DIF(RCA ,BNC,2×NagraリンクシングルモードST-1 オプティカル入力は将来のNagra hi-rezソースを受け取るために設計)の入力を装備。USB入力は8コア X-Mosチップに独自開発のソフトウェアを組み込んだもの。 超高精度で超低ジッターのクロックが採用された。高性能FPGAが演算を受け持ち、どの入力信号もDSD256フォーマットに変換される。
メインデジタルパワーサプライは、ノイズレベルの低いHD DACのそれと比較しても30倍もノイズレベルが低い。これらの新しい電源のノイズレベルは、0.4〜0.8 µV rms(10 Hz〜100 kHz)となる。デジタル段階では16の超ローノイズパワーサプライを使用。デジタル入力、DA基板は8層の高精度PCBを使用した。
アナログステージは非常にユニークなもの。高く評価されたNagra HD DACに採用したDAC回路を大幅に改良したもの。HD Preampと同様、デュアルモノ構成である。DAC段階を経たアナログ信号は低インピーダンスの他に例がない回路のバランスカレントアンプに送られる。このステージにおいては、ライズタイムが1800V/ µS、インダクティブ負荷28Hという段間トランスが優れた能力を発揮する。フィードバックはゼロ、ゲインも加えない回路である。
電圧ゲインは最新Nagraトランスを複数使用している。ゲイン調整の他にトランスは、バランス回路からシングルエンドに信号を変換しシングルエンド真空管ステージに送り込む役割を担う。トランスはHD DAC専用に設計され、ハンドメード、スイスのクラフツマンによってNagraの工場で製造されている。HD DAC Xの全体的な性能を決定付ける最重要パーツはトランスなので、入念に設計した上で、厳しい品質管理が行われ、製造される。
インピーダンスは2本のNOSミリタリーグレード真空管、JAN5963を搭載したトランスの次に配置された回路によってさらに低くされる。ヒートフィラメントの電圧は独立してそれぞれの真空管に供給されるため、真空管ノイズは非常に低い。フィードバックのない回路である。Nagraによってスペックインされた多くの特注部品が使用されている点でも、HD DAC XへのNagraの意気込みが感じられる。
低共振シャーシ。Nagra機械構造技術者がHD preampのために新しく非共振スタンドを設計し、マイクロフォニック共振をも低減させ、新たなベンチマークとなった構造をそのまま踏襲した。
HD DAC X は2018ロッキーマウンテンオーデイオフェスタで発表され、ショウのベストサウンド賞が贈られた。
Specifications
- デジタル入力
- 1×AES/EBU, 2×S/PDIF, 2×NAGRA-LINK, 1×Optical, 1×Audio USB (UCA2)
- アナログ出力
- 1 ペア RCA
- 1 ペア XLR
- 出力レベル
- 1.5 VRMS
- 出力インピーダンス
- 200Ω以下
- 出力ノイズレベル
- -128 dBr @ 1 kHz 1.5 V
- 歪率
- 0.02 % @ -20 dBfs以下
- 0.005 % (H2 filtered) @ -3 dBfs以下
- 周波数特性
- 5 Hz – 40 kHz +0 / -1 dB
- クロストーク
- 110 dB @ 1 kHz以下
- 最大消費電力
- 170W
- サイズ
- DAC本体 433x436x121 mm
- パワーサプライ433x436x121 mm
- 重量
- DAC本体 13.5 kg
- パワーサプライ 16.5 kg
- 付属品
- リモートコントロール