Edison Mk II / Brinkmann Audio
Edison Mk II
一部の優れたオーディオ機器がリスナーを音楽の魂に近づけることができるのは何故だろうか。それは、単純に解像度とかクリーンなステージ再現、と言うことではないと思う。もし、そうであれば、世にある優れたオーディオ機器すべてが音楽の真髄に迫る再生ができるはずだ。
デジタルファイルとは違った表現で音楽を聴きたい、という理由からアナログ再生を楽しむ方々も多いはずだ。アナログレコードには、たいへん心を和ませる音を奏でる能力がある。
Edison Mk II(エジソン マーク2)は、2011年に発表された初代Edisonの大幅な改良版である。初代エジソンは、ブリンクマン氏入魂の作品で、多くの素材と回路を試し、試聴を繰り返して完成されたフォノイコライザーである。投入する素材によって音質が大きく変わるので、「聴く」過程がたいへん重要になり、多くの時間が費やされたという。それは、ヘルムート ブリンクマン氏の40年に上る、リスナーとしての感性とデザイナーとしての技術によって培われた音楽の核心に迫る音の追求によるものであろう。魂のあるオーディオ機器を敬虔なリスナーにお届けしたい、と願う氏の頑固な開発姿勢の証明である。
Edison Mk IIはハイブリッドフォノアンプである。すなわち、トランジスターステージは真空管のカソードに送られる信号を増幅するために配置され、いわばターボチャージャーのような働きを行う。この利点は、ゲイン調整が完全にトランジスター段で行われるところにある。一方、大切なイコライジングは選別されたテレフンケン製オリジナルのPC803真空管によって行われ、各段階が区別されている。イコライザーネットワークにはリレーは一切使用されていない。
入力は3系統(内2系統がRCA/XLR)、各入力に対しては、ゲインが49〜73dBまで16段階に調整でき、入力インピーダンスは50 〜47kΩまで12段階に調整ができる。入力にはルンダール製精密トランスを介し、外部ノイズの侵入を排除している。聴き手の好みに寄り添い、微調整の上、音を作り上げることができる点がオーディオ、特にアナログ再生の楽しみの一つとすれば、エジソンはとても良いツールになる。リモートコントロールによってリスニングポイントで調整した結果の判断ができるようになった。
RIAAイコライゼーション回路は、真空管ステージのプレート負荷とフィードバックループとに分けられている。バランス出力のフェーズ反転は真空管ステージで行われる。
Edison Mk IIの改善点は多岐にわたる。RIAAイコライジングネットワークは完全に一新された。ブリンクマン氏の理想を求めての飽くなき探究心により、試聴と調整を繰り返して完成された。一例として、使用するコンデンサーのすべてがアップデートされ、最新タイプに置き換えられたか、あるいは容量の変更が行われた。また、DACの開発過程で開発された出力段もMk IIに応用された。その結果、ノイズフロアレベルは一層深く下がり、ディテール表現が豊かに、演奏家がそこに居るが如く再現される。また、長期にわたる安定性もさらに進化し、ユーザーと音楽との結びつきをより強固に行うことができるフォノステージ となった。
静かなバックグラウンドボイスを模範的に強調することができるイコライザーは、何も失わずにイコライジングを行う。ロック音楽でも音を混濁することなく、その衝撃的な音、音楽を力強く目の前に浮かび上がらせる。特に低オクターブ領域で、Edison Mk IIが余裕を持ってこれだけの電力を供給できることは、大変心強い。
ヨーロッパのオーディオ誌から、エジソンの論評を引用しましょう。 「以下はエジソン フォノステージと過ごした素晴らしい時間の要約です。完全性、純粋性、スムーズさ、豊富な色彩感は、私が体感した一つの側面でしかありません。安定したイメージング(言うまでもなく)、広くて深いサウンドステージ(自然であるがまま)、また正確な音色といった、ハイエンドの基準だけでエジソンを評価したくはありません。
Edison Mk IIは純粋に音を奏でます。この世界にはまったら、なかなか抜け出せません。くつろげるような音楽、とても表情豊かでありながら正確無比、というあまり体験しない貴重な瞬間を得たような輝きを貰いました。 おそらくは、より正確に演奏する製品も僅かですがあるでしょう、しかし、エジソンは、心を軽やかにするような音の流れ、そして、私の意見ですが、傑出した誠実さに基づく情緒的な音によって真面目一辺倒のフォノアンプを打ち負かします。このような音楽への直接的で熱情的な体験は滅多にできるわけではありません。微調整によるさまざまな可能性と3系統の入力により、エジソンはアナログ愛好家にとって、絶対的な夢のフォノステージ になるでしょう。」
Specifications
- 機能
- トランス回路スイッチ、モノ/ステレオ切り替え、位相反転、リモートコントロール、入力インピーダンス、ゲインの入力ごとの調整が可能。
- 入力
- 2 RCA/XLR, 1 RCA
- 入力インピーダンス
- 50Ω 〜 47k Ω、12段階
- ゲイン
- 49〜73dBまで16段階
- 出力電圧
- 最大+/— 8V(バランス)
- 出力インピーダンス
- 1kΩ(バランス)
- 寸法
- 本体:420 x 95 x 310mm パワーサプライ:120 x 80 x 160mm
- 重量
- 本体:12kg 御影石ベース:12kg パワーサプライ:3.