Coherence バッテリー電源について

バッテリー電源についてのワンポイントアドバイス

Coherenceはバッテリーの寿命を延ばし、バッテリー電源の効果を最大限にするために、自身で常に電圧を測定し、マイクロプロセッサーでコントロールを行う回路を持っています。その回路をチャージマネージメント回路と呼び、電源部のフロントパネルロジックボードに入っています。その回路は次のような働きをしています。

  1. 2個のバッテリーのトータル電圧が26.44VになるとフロントパネルのFULL LED(緑)を点灯させます。
  2. その電圧が23.43Vまで低下すると、LOW LED(赤)を点灯させます。これはバッテリーモードで使用中にも、ACモードで使用中に不具合が生じた場合にも電圧がこのレベルまで下がれば点灯します。
  3. バッテリーモードで使用中、バッテリー2個のトータル電圧が22.83Vまで下がると、バッテリー保護のために強制的にACモードに戻し、バッテリーが深く放電しないようにします。
  4. 更にAC電源の電圧もモニターしていて、電源電圧AC100Vが90Vの場合には電源の動作をストップさせます。

FULL/LOWバッテリーチャージランプについて

バッテリーの容量が100%のときは、FULLチャージランプ(緑)が点灯します。BATTモードで少しでもバッテリーが消費されるとこのランプは消灯し、50%近くまで消費されてくると、LOWチャージランプ(赤)が点灯します。このLOWチャージランプが点灯した場合、直ちにBATTモードからACモードに切り替えてバッテリーを充電して下さい。

ACモードの時は、演奏中でもバッテリーの充電を同時に行います。この2つのランプはACモード時・BATTモード時に関係なく、その時のバッテリーの容量を示します。

NOTE

LOWチャージランプが点灯した場合、直ちにBATTモードからACモードに切り替えて下さい。もしうっかりBATTモードのまま使用し続けてしまってもバッテリーの残量が50%以下になると、アンプは自動的にバッテリー保護のためいったん電源を切り、その直後ACモードに切り替わります。その際マイクロプロセッサーが誤作動を起こしエラー等が発生することがあります。その場合には、パワーサプライ内の充電回路をリセットする必要があります。

リセットを行うには、MODE SELECTボタンを5秒ほど押し続けてください。数秒後アンプ内部のリレー回路が働き、「カチン」という音がするとともにフロントパネルの各ランプがいったん消灯し、その直後再び点灯し、復帰します。その際、記憶された各チャンネルの設定はリセットされ、初期状態になりますのでご注意下さい。

バッテリー電源についての注意事項

使用時の注意

本機をご使用後は、MODE SELECTボタンをACモードにして下さい。これによりバッテリーの充電はご使用になっていないときに完全に行われ、常にフルチャージの状態で音楽の演奏をお楽しみいただけます。

BATTモードにて使用している場合でも、AC電源ケーブルは必ず接続したままご使用下さい。AC電源ケーブルを抜いてバッテリー稼働だけでの使用も可能ですが、そのままBATTモードでご使用になるとバッテリーの寿命を早めたり、又故障の原因となります。

保管時の注意

本機を引っ越しや保管時など長時間使用しない時は、バッテリー保護の為次の作業を必ず行って下さい。

  1. AC電源ケーブルを抜きます。
  2. MODE SELECTボタンを「カチン」という音がするまで(4~5秒ほど)押し続けます。
  3. 最後にDCケーブルを抜きます。

これでバッテリーの放電を防ぐことができます。この作業を行わないで電源ケーブル等を抜いてしまうと、バッテリーの寿命を早めてしまいますのでご注意下さい。

バッテリーの寿命について

バッテリーは寿命がある為、そのトラブルについては、他の電子部品と違って、故障と寿命の違いが不明確な場合が多々あります。バッテリーメーカーではその容量が半分になった時点を寿命と定義しています。

Coherenceでは公称電圧12Vのバッテリーを採用していますので、その電圧は変わらず、バッテリーモードでの使用可能時間が半分になった時点で寿命になった事になります。実際にはその状態でもCoherenceは正常に動作しますので、この時点でバッテリー交換を依頼されることは少ないと思います。完全に容量が低下した場合には、ACモードからバッテリーモードに切り換えた瞬間、そのままACモードに戻ります。この状態で修理に出されるケースが多いように思います。

Coherenceのバッテリーに関する修理は、電源が入らない場合や電源部フロントパネルのLOW VOLTAGE LED(赤)が点灯してアンプ部が動作しない場合があります。この2つのケースは、2個あるバッテリーの1個の端子電圧が12Vでは無くて、8Vとか6Vに低下しています。シール鉛蓄電池の電圧は一つのセルが2Vですので、公称電圧12Vのバッテリーは6個のバッテリーセルで構成されています。6個のバッテリーセルが正常であれば、その電圧は12Vになります。2個とか3個のバッテリーセルが動作しなくなった場合には、その端子電圧は8Vとか6Vになるわけです。この場合にも3年以上経過している場合には寿命と考えられます。そこで当社では使用開始から1~2年で端子電圧が低下している場合に、バッテリーの故障と考えています。ただ、この故障原因にも、取扱上の問題がある場合も多いものですから、本来のバッテリーそのものの故障は少ないことになります。


バッテリー交換サービス

COHERENCE

現在ご使用中のコヒレンスのバッテリー残量が、通常の使用可能時間の半分以下になってきた場合、バッテリーの消耗が考えられ、そろそろ交換時期です。交換作業は弊社サービス課にて行っております。ご依頼いただく際は販売店または弊社サービス課までご連絡下さい。工期はお預かり後約1週間を予定しております。

お持ち込みいただくもの(お送りいただくもの)

総合的に点検を行いますので、以下のものを必ず一緒にお持ち込み下さい。

  1. Coherence本体
  2. 電源部
  3. DCケーブル
  4. リモコンユニット
  5. リモコン受光部(ディスプレイユニット)
  6. ディスプレイユニット接続ケーブル
  7. ディスプレイユニット接続アダプター

(※)作業工賃は下記の作業内容を実施した場合の基本工賃となります。故障が生じていて何らかの修理・調整が必要な場合がございます。その場合、各部調整費用、修理工賃およびパーツ代金等、別途代金が加算される場合がございます。

バッテリー交換作業内容

  1. 電源部だけでAC電源を接続し、電源をONにします。天板を開け、その状態で+電源、-電源それぞれののバッテリー電圧を測定し、バッテリーの故障状態を確認します。
  2. バッテリーを外し、外した状態でバッテリーの端子電圧を測定し、バッテリーの故障パターンを確認し、新品のバッテリーに半田付けでリード線を取り付け直します。
  3. リード線を付けた各バッテリーを電源部に取り付けます。このときにバッテリーリードの接続はせずに+-電源とも、定電圧電源の電圧を正しい値に調整します。調整が終わればリードをコネクターに挿し、バッテリーのチャージを始めます。チャージをしながらバッテリーの端子電圧を測定し、FULLのLEDが点灯する電圧を確認します。そのまま天板を閉め、24時間バッテリーチャージをします。
  4. アンプ部と電源部を接続し、リモコン表示部を取り付け、電源を入れて最初に各機能のテストを実施致します。このときにリモコン送信部が付属していれば、合わせてチェックをします。リモコン送信部の電池電圧をチェックし、7V以下であれば交換します。
  5. 最高の精度を誇るAudio Precision社の測定器で、ノイズレベル、ノイズ波形、THD、L&Rレベル、フェーズ、チャンネルセパレーション、周波数特性などの測定テストを実施致します。
  6. 最後にオーディオシステムに組み込み、試聴テストを実施致します。

調整箇所について

Coherenceは定電圧電源と呼ばれている回路でバッテリーをチャージしています。+電源、-電源の回路が別々にありますので、各定電圧電源の電圧を正しく合わせ直しをします。それともう一つ重要な回路のチェックと調整があります。Coherenceにはバッテリーの寿命を延ばし、保護する為に、AC電圧、バッテリー電圧を検出し、マイクロプロセッサーでコントロールをする回路を持っています。この回路はフロントパネルロジックと呼ばれ、電源部のフェースプレートの中についています。正確にコントロールをさせる為に、その基準電圧を正確に調整する必要があります。弊社ではこの調整を全て合わせて、チャージマネージメント回路のキャリブレーションと呼んでいます。

使用バッテリーについて

弊社で使用しているバッテリーは、Jeff Rowland D.G.社が使用していたものよりも更に寿命の長い最高級品を使用しています。(バッテリーメーカーの規格で約2倍の寿命)

鉛蓄電池そのものは昔から長く使われてきましたが、Coherenceに使用されているシール蓄電池は更に便利になるように改良されてまいりました。バッテリーメーカーは今日まで寿命を延ばす為の努力を積み重ねてきました。Coherenceに当初搭載されてきたバッテリーは、トリクル期待寿命約3年でした。その後、同バッテリーメーカーからトリクル期待寿命5年(※)の高寿命タイプのバッテリーが発売されました。弊社ではCoherenceの信頼性を高め、ランニングコストを減らす為、この新タイプのバッテリーに全面的に切り換え採用しています。(※)トリクル期待寿命とはバッテリーメーカーが実験室での高温加速寿命試験により推定した平均寿命のことで、コヒレンス搭載時における寿命を保証するものではございません。

Back to Top